【2024年】人類学のおすすめ本 12選

人類学とは、人間の多様性と共通性を文化、社会、言語、生物学の視点から総合的に研究する学問です。人類の進化、文化の発展、社会構造、言語の変遷などを探究し、異なる文化や社会を比較することで、人間の行動や価値観を理解しようとします。人類学は、フィールドワークや観察、インタビューなどの方法を用いて、具体的な事例から普遍的な人間の特性を見出します。

人類学を学ぶメリットは、多様な文化や社会の理解が深まり、異なる視点を尊重する姿勢が養われることです。人間の行動や価値観を総合的に探究することで、グローバルな課題への洞察力が向上し、多文化共生や国際協力の場で役立ちます。また、フィールドワークなどの実践的な調査方法を通じて、問題解決能力やコミュニケーションスキルも身につきます。

以下は、人類学を学ぶためのおすすめ本12選です。これらの本は、人類学の基本概念からフィールドワークの実践まで、幅広い視点で人類学の魅力を紹介しています。

はじめての人類学 (講談社現代新書)


「人間の生」とは何かを探求するため、100年前にフィールドワークに挑んだ人類学者たち。マリノフスキ、レヴィ=ストロース、ボアズ、インゴルドの4人の足跡を辿りながら、人類学の真髄を掴むことができる。この新しい入門書は、人類学の基本的な概念と重要な人物の業績をわかりやすく紹介し、読者に深い理解を提供する一冊です。

人類学とは何か


ティム・インゴルドが語る人類学の入門書です。他者と“ともに”学び、生きることの意味を探求し、現代思想やアートを含む多分野に影響を与えるインゴルドの思想の核心に迫ります。世界が直面する未曾有の危機に対して、人類学がどのように未来を切り拓くかを示し、他者と向き合う姿勢を学びます。

旋回する人類学

コロナ禍と出会い直す 不要不急の人類学ノート


新型コロナウイルスの感染対策により生じた極端な措置や社会の反応を振り返り、名ばかりの対策が脆弱な命を砕いた現実に焦点を当てます。人類学者は、過去の出来事や人との新たな関係性を探る「出会い直し」の視点から、感染予防策の影響を考察し、未来の命を守るための教訓を見出そうとします。

これからの時代を生き抜くための 文化人類学入門

「人新世」という時代を生き抜くために必要な《文化人類学》の視点を提供する入門書。ボルネオ島の狩猟採集民「プナン」との日々を描いたエッセイで話題となった人類学者・奥野克巳が、シェアリング、多様性、ジェンダー、LGBTQ、マルチスピーシーズなどのテーマを取り上げ、現代社会の“あたりまえ”を再考します。

〈怪奇的で不思議なもの〉の人類学: 妖怪研究の存在論的転回


妖怪は超自然的で現実には存在しないという考えは、作られた伝統である。アクターネットワーク理論やパースペクティヴィズム、マルチスピーシーズ人類学などを駆使して、新たな妖怪研究が展開される。TikTokや2ちゃんねるなどで流通するネット怪談も対象に、民俗学と人類学を架橋する画期的な書です。

Lexicon 現代人類学


21世紀の初めに人類が直面する未曾有の危機に対し、本書は「存在」「経済・政治」「芸術(アート)」という大きなテーマを軸に、新たな知の在り方を探求する。人類学は哲学、政治学、心理学、言語学など多様な学問との対話を通じて変化を遂げており、本書は現代人類学の「思想」と「実践」を追った50項目の「読む」キーワード集である。

NHK出版 学びのきほん はみだしの人類学: ともに生きる方法

「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済


本書は、サントリー学芸賞受賞の文化人類学者が「その日暮らし」や「Living for Today」という生き方を追求する。計画的な成果主義や資本主義とは異なる価値観で豊かに生きる社会や経済を持つアマゾンの先住民やアフリカ都市民、海賊行為が生む新しい経済・社会を紹介し、働き方や人とのつながり、時間的価値観を問い直す。

詳論 文化人類学:基本と最新のトピックを深く学ぶ


本書は文化人類学をより深く学びたい学生向けに、基礎から最新の研究動向までを解説する。第Ⅰ部「基本領域」では、姉妹書『よくわかる文化人類学 第2版』の内容を詳述・アップデートし、第Ⅱ部「新たな展開」では最新の理論やテーマを取り上げる。学界を代表する研究者たちが力を結集して執筆した、文化人類学の深い理解を目指す一冊。

ことばと身体 「言語の手前」の人類学


本書は、身体を用いたコミュニケーションの微細な観察を通じて、社会とコミュニケーションの本質を探求する。ブッシュマンの家族や日本の大学生、民俗芸能の現場を例に、ことばだけでなく、身ぶりや間、演技など身体全体を使ったやり取りを分析する。現象学、社会システム理論、言語行為論を参照し、身体に根ざした「唯身論」人類学の新しい試みを提示する。

Newton大図鑑シリーズ 人類学大図鑑


本書は、複雑な人類学の概念や理論を、誰にでも理解できるようにやさしい文章で解説します。専門知識がなくても読み進められる構成で、人類学の基礎から最新の研究動向までをカバー。日常生活や社会現象に対する新しい視点を提供し、読みやすくわかりやすい内容で、誰でも楽しく人類学を学べる一冊です。

まとめ

人類学の本を読むことは、人生において多くのメリットをもたらします。まず、人類学は異文化理解を深める学問です。他者の文化や価値観を学ぶことで、自分自身の考え方や行動を見直し、より広い視野を持つことができます。これにより、異なるバックグラウンドを持つ人々とのコミュニケーションが円滑になり、国際的な舞台での活躍にも役立ちます。

また、人類学は「フィールドワーク」と呼ばれる現地調査を通じて実践的なスキルを身につけることができます。観察力や分析力、問題解決能力が鍛えられ、ビジネスや日常生活においても応用可能です。例えば、職場でのチームビルディングや顧客のニーズを理解するためのマーケットリサーチなどに役立ちます。

さらに、人類学は人間の多様性を理解し、尊重する姿勢を養います。現代社会では多様性がますます重要視されており、この理解は対人関係やリーダーシップにおいても大きな強みとなります。例えば、多様な意見を尊重し、チームメンバーの異なる視点を統合することで、よりクリエイティブな解決策を見出すことができます。

加えて、人類学の知識は自己理解にもつながります。他文化を学ぶことで、自分自身の文化や価値観を相対化し、より深い自己認識を得ることができます。これにより、自己成長やパーソナル・デベロップメントの促進にもつながります。

最後に、人類学は倫理的な視点を提供します。社会正義や人権問題に対する感度が高まり、社会貢献や持続可能な社会の実現に向けた行動を促します。これにより、より良い社会を築くための一助となり、自分自身の人生をより意義あるものにすることができます。

人類学の本を読むことで得られる知識や視点は、人生のあらゆる側面において役立ちます。新たな発見や自己成長、そして他者との豊かな交流を通じて、より充実した人生を送るための道しるべとなるでしょう。